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2007年01月

2007年01月01日

寺報ずいえん 第26号 後編

新年明けましておめでとうございます
今年も良いお年でありますよう、改めてお祈り申しあげます  



《年末年始特集 ―その3》亥年」と「おはし」と「お年玉

亥年
 施本「亥年を迎えて」(開山堂出版) 猪についての記述より

 
「・・・頭も良く家族思いです。・・・猪は家族単位、集団で行動します。・・人間社会では少子化や家族崩壊が叫ばれて久しくなります。猪のもつ家族愛、子だくさんにあやかりたいものであります。・・・」
 

 ―最近頻発している恐ろしい事件や世情を見聞きするにつけ、「いのち」「家族の絆、愛」が今一番軽んじられているのは、人間社会ではないのかと思わざるを得ません。
 親が我が子を、子が親を殺め、全く無関係の人を「誰でも良かった」と殺める。同級生を、近所の子を平気で殺める。・・・、いじめ、虐待等々、悲しいニュースが連鎖し、健全に一生懸命生きている人々の心にまでも「不安色」をあおっているような気がします。

 「本物のしあわせ」ってどういうことだろうか、動物としての人に立ち戻って、今一度原点から問い直してみたいものです。その問い直しの視点のいくつかが、実は次に…↓

 平成19年「曹洞宗宝暦」のコラムを引用・参考してみましょう。

 
4月 「人間の尊さ」― 「お金で人間の心を買える」と言う発言があるが、それは、かけがえのない「いのちとか心」という絶対的な価値のものを、お金という物の位置まで下げ、人間の尊厳性を自ら否定した発言なのでは?
 5月 「大海の一針」― 人が人として生まれてくることは難しい。お釈迦様は「大海の一針を拾うが如し」と。又ヒトの命は同じものではなく「天上天下唯我独尊」だと。あなたは、かけがえのないその命をどなたから授かりましたか?
 6月 「僧食(そうじき)九拝」― 「食育(しょくいく)」というが、曹洞宗では750年も前から食育であると。地球上の生き物は皆、他の生命をいただかねば生きていけない。人間も例外ではなく、いわゆる「食物連鎖」であります。しかも人間は「いただくばかり」。それ故に食(食べ方)が問われるのでは?
 7月 「祖父母」― 高校の教科書「祖父母は孫を家族と考えていても、孫は必ずしも祖父母を家族と考えない場合があるだろう。そして犬や猫のペットを大切な家族の一員と考える人もある」という記述。何を教えたいの?他を思いやる心、すべてのかけがえのない命を大切にする心を育みたい。



お箸/おはし》 今年の記念品のお箸の言葉「いただきます、ごちそうさま」

○ 食事は命の有り難さを学ぶ絶好の機会。是非食前食後に手を合わせ「あなた(食べ物)の命をいただきます」「あなたの命を私の命としていただきました。ごちそうさまでした」と感謝の心をお箸にのせて食事ができたらいいなと思います。
○ 「輸入してまで食べ残す日本人」といわれます。人間に食べられた生き物は、その人の命として役立つならまだ許せるが、食べ残して捨てられたのでは無駄死にだ・・・。
 せめて「家族そろっておいしく残さずいただく」ことができたらいいなと思います。


本物のお年玉
 いじめや殺人などの凶悪な犯罪を犯す子どもたちは、親の愛情に飢えて育ったケースが多いようです。子どもは大概のショックには耐えられるが、親の愛、父母の夫婦愛、家族愛の欠如によるショックに一番弱いといわれます。
 子どもが心底望むお年玉は、高額なお年玉、豪華なゲーム機、リッチな食事や旅行でなく、安心できる親の愛、優しい眼差し、癒しの一声、勇気が湧く一声、夫婦円満、家族円満というお年玉です。ただそれだけです。
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